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クレヨンしんちゃんを毎日観てるバカがオススメするクレしん映画ランキング ベスト5(第4位)

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バカ丸出しでクレヨンしんちゃんを毎日観てる。そんなアホがオススメのクレしん映画を紹介します。今回は第4位。

 

4位 アッパレ! 戦国大合戦(2002年)

 あらすじ

しんちゃんがある日突然、過去にタイムスリップ。あっという間にサムライたちの闘いや政略結婚に巻き込まれ、歴史を大きく変えていく。戦国時代でも大暴れ!

 

見どころ・感動ポイント

「主人公」としてのしんちゃんの行き場のない悲しみ。どうにもならねぇ「この」世界への無力感に流す涙。

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 しんのすけが戦国時代にタイムスリップする。そこで偶然、合戦中に殺されかかってた又兵衛ってサムライを助ける。

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 しんのすけは又兵衛に拾われ、面倒を見てもらう。又兵衛は強くて優しくて全体的にナイスガイ、立派な男で、ふたりは絆を強めていく。

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 又兵衛は幼なじみのお姫様と両想いで、けど身分違いってことで身を引いてる。気持ちを押し殺してる。

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 で、なんか敵国と本格的に合戦をして、そんで、又兵衛としんのすけたちが勝って、引き上げて、その途中、又兵衛は急に撃たれて死ぬ。

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 又兵衛とのお別れ。で、しんのすけは無事現代に帰って、おしまい。

しんちゃんの涙

又兵衛は言う。

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「しんのすけ、お前が何故オレのもとへやって来たか、今分かった。――オレは、お前と初めて会ったあのとき、撃たれて死ぬはずだったのだ。だが、お前はオレの命を救い、大切な国とヒトを守る働きをさせてくれた。お前は、その日々をオレにくれるためにやってきたのだ。――お前の役目も終わった。きっと元の時代へ帰れるだろう」

 

 要するにすげぇ感謝してますと。しんのすけに。ありがとう、みたいな。

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 しんのすけ号泣。しんのすけは形見として脇差を受け取る。

 

 元の時代に帰る直前、しんのすけは「儀式」をやる。又兵衛から教わった「誓いの作法」を。

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しんちゃんの涙?

 強くて優しくてけど不器用で、そんな「サムライ」と出会ってヒトとしての在り方を学んで、そんでそいつとの別れ、死別によって、しんのすけがひとつ成長する。――表面的にはそういう筋書きで、それはそうなんだけど、でも、違うっちゃ違う。

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「しんのすけ、お前が何故オレのもとへやって来たか、今分かった。――オレは、お前と初めて会ったあのとき、撃たれて死ぬはずだったのだ。だが、お前はオレの命を救い、大切な国とヒトを守る働きをさせてくれた。お前は、その日々をオレにくれるためにやってきたのだ。――お前の役目も終わった。きっと元の時代へ帰れるだろう」

 

 又兵衛は自分にとってのしんのすけの「意味」をほざく。つまり又兵衛は自分を中心にしんのすけって存在を考えてる。

 

 けど又兵衛は気づいてない。これが『クレヨンしんちゃん』って作品だってことを。この世界の中心は自分じゃなくて「しんちゃん」なんだってことを。

 

 しんのすけの涙の意味はそれだ。つまり「俺の映画、俺の成長物語のためにお前がこうやって死ぬハメになってすまんな」ってことだ。「俺の成長ってプロットを際立たすために最後こうやって、この世界の意思としてお前は撃ち殺されることになって、いやぁ、うはは」、そういうわけでしんのすけはぼろぼろと泣く。主人公である自分の都合で死ぬ「脇役」。そのやるせなさ。どうにもならなさ。

 

 いやもっと言えば、しんのすけは又兵衛のアホさ加減を憐れんでる。自分が脇役だと気づかずに自分を中心にしんのすけの「役目」とかをべらべらと語ってるその間抜けさを。しんのすけは思ってる、「利用されたのはお前なんだぜ」と。それに気づくだけのアタマすら与えられてない、哀れなピエロとしての又兵衛のそのザマにしんのすけは涙を流してる。フィクションであるこの世界。

 

 もっと言えば、さらに悲劇的なのは、笑えるのは、しんのすけは成長しないってことだ。この映画が終わればこの自分の「成長」はなかったことになる。自分は5歳のままで、この映画の物語はいつものテレビの自分、そして来年の、再来年の、10年後の、100年後の映画の「しんちゃん」には繋がらなくて、要は結局これは「成長したふり」にしかならないってことだ。つまり又兵衛、あんたは俺の成長の肥やしにさえならなくて、成長したふりの、その嘘のための踏み台でしかないんだぜ、みたいな、その切なさ、その空虚さ、みたいな。 

世界意思

「しんのすけの成長」。これがこの映画っていうひとつの世界の総意で、この世界の目的で、この世界はただそれに奉仕してる。

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 タイムスリップのきっかけはシロが庭先に急に穴を掘ったことで、その穴の中でしんのすけは戦国時代に飛ばされるわけだけど、そのときのシロにはほとんどシロとしての「意思」がない。しんのすけにも「いつもとキャラ違う」とか言われたりして、つまり要はシロはこの映画、この世界の意思に乗っ取られて穴を掘ってしんのすけを過去へと送り出してる。ある意味このシロの不自然さ、不気味さが一番分かりやすくこの映画のテーマを観客に説明してる。つまり「しんのすけの成長物語としての世界」という恣意的なその在り方を。制作側からの種明かし、みたいなもんだと思う。「これで分かれよ」と。「こういうことなんだぜ、所詮この世界はこうでしかないんだぜ」的な。

結論

 要するにしんのすけは気づいてる。自分が主人公だってことに。そしてそのどうしようもなさ、自分が世界の中心だってことが自分には動かしようがないことに。物語の、世界の操り人形として踊り続けるしかない主人公の無力さに。だからしんのすけはぼろ泣きした。

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 この世界の「意味」に気づけない又兵衛を憐れむ一方、多分しんのすけは思ってる。気づいてようが同じだと。脇役だろうが主人公だろうが、この作り話をどうすることもできないと。涙の意味も書き換えられちまうんだと。

 

 なら実際、どっちがましなんだよと。アホなあいつと半端に賢い自分。しんのすけは多分そう思ってる。アタマがあってもなくても、死のうが生きようが、結局それがなんだってんだ? みたいな。同じじゃねぇか、俺たち、何を思っても、とかなんとか。

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 そういうのが描かれてる、要するにこの『アッパレ! 戦国大合戦』はかなりド直球のメタフィクションってやつで、こんなモノをやれる『クレヨンしんちゃん』ってコンテンツはまぁ懐が広いなぁって感じで、そんで、ガチで泣ける。作り話の中のヤツらの悲哀、実存みたいなモノが伝わってきて、そんで、それが、作り話じゃない「この」世界の俺ら視聴者の在り方みたいなのとどっかで通底してて、いやぁ作り話だろうがそうでなかろうが、どんな世界でも、なかなか思うようにはいきませんなぁ、生きられませんなぁ、とかなんとか。

P.S.


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 7月に出るクレヨンしんちゃんのゲーム。『ぼくのなつやすみ』の監督が作ってるらしくて、ならあのバグ、「8月32日」的な、あのメタフィクション的な演出があったりするのか? みたいな変な期待をしてる。